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マイ☆レジスタンス
08
ソファーで足を組むエイドのまえに、タクトは歩み寄る。
加巳に魔力を使ったためだろう。あれからすぐにエイドから部屋に来るよう呼び出しがきた。

「何があった」
「…ん?」
「魔力を使っただろ。襲われたか」
「ご主人様はもう寝てるかと思ってたよお」

タクトは笑って後頭部で両腕を組む。
日付が変わってから二時間程が経っていた。

「魔力を抜かれれば寝てたって起きる。相手は誰だ」
「知らない顔だったなあ。すぐ逃げてったし」
「しかし魔力を使うほどの相手だったんだろ?お前が素手で敵わない相手か…」

その通りなのだが、加巳より劣っていると主人から言われたようで面白くない。

「油断したんだよ。俺のミス」
「それならば余計悪い。俺の従者がそんなことで務まるか」

叱責され、素直に頭を下げる。

「申し訳ありません、ご主人様」

魔力を使った経緯は話せないが、エイドが言うことは全てもっともだ。それだけにタクトも反省しないわけにいかなかった。

(あいつに油断しちゃいけなかったんだ。魔力使わなきゃ勝てないなんて、負けたも同然だ)

悔しさを押し込めて、笑顔を浮かべる。
主人を守れない従者など、良い笑い者だ。

エイドが立ち上がり、タクトに部屋を出るよう促す。

「次の失態は許さない。いいな」
「りょーかい、ご主人様」
「それと」

さらに言葉が続いたので、タクトは微かに首を傾けた。

「予定通り今期の生徒会長選に立候補する。慌ただしくなるから頭に入れておけ」

主人の活躍が目に見えるだけに、期待が込み上げた。

「ご主人様なら余裕で選ばれるよ。学年の首席様だし」
「城条家として当然だ。家柄の重さもわからない輩と違うからな」

それは日室を指しているのだろうか。魔力を盾に我を通す男。
何でも良い。

タクトは胸に手を当て、腰を深く折った。

「ご活躍を楽しみにしてますよ、ご主人様」

頭上で鼻を鳴らす音を聞き、顔を上げる。
いたずらめいた笑みを浮かべると、タクトはエリート専用の一人部屋から静かに出ていった。

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