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BWネタ話


※BWのネタ話です、ふざけてます。ごめんなさい。








「ランスさん、知ってます?」
「なんですか急に。」

仕事の手は止まらないまま返事が返ってくる。たった一つ質問を投げかけただけなのに、声色は鬱陶しさを全面的に押し出している。

「すごく旬な話なんですけどー…」
「はい。」
「今、ポケモンを『トモダチ』って呼ぶのがはやってるらしいですよ。」
「……はぁ?」

一瞬体の動きを止め、こちらを睨みつける目線には先程の鬱陶しさに加え呆れも込められている。おぉ、こわいこわい。

「そんな馬鹿な話に付き合えるほど、私は暇じゃありません。」
「まぁまぁ聞いて下さいよー。で、この子が最近手に入れたあたしの新しい『トモダチ』なんですけどー…」
「だから、私の話を…」
「おりゃっ!でてこーい!!」

投げたボールから光と共に出てきたのは、緑のボディーと可愛い目が愛くるしい新しい『トモダチ』…。

「この子が『ランス』くんでーす!!」
「……今、なんて?」
「だから、『ランス』くんです。遠い地方の子なんですけど、コネを使ってゲットしました。」
「どのようにゲットしたかなどはどうでもいいのです!それよりも、どうして私の名前が出てくるのです!?」

ランスさんがランスくんをぎろりと一瞥した後、あたしに向かって叫んだ。ちょっと、ランスくんが怖がってるからやめてくださいよランスさん。

「この子のニックネームが『ランス』なんです!正式な名前はランクルスっていうんです。」
「そのニックネームにしたのは私に対する嫌がらせですか…」
「そんなわけないじゃないですかー!正式な名前から三文字を抜き出したんです。この子のボディーの色とランスさんの髪の色とかも似てるなー、と思って。それに何よりランスさんはあたしの大事な友達だから、『トモダチ』のこの子に同じ名前を付けてあげたくって…」
「わ、私はあなたの上司です!友達になった覚えはありません!」
「照れなくってもいいんですよ!このこの!」

冷酷だから友達が一人も居ないんでしょう、知ってますよ!だからあたしが友達第一号になってあげます!
慰めてあげながら肘で脇腹をつつくと、そのたびに額に青い筋が一本ずつ増えていく。嬉しすぎて血液の流れでも良くなったのかな?


「…人を怒らせるのも大概にしなさい!大体、なぜポケモンが『トモダチ』なのです。ポケモンは我々の道具に過ぎないでしょう。それでも貴女はロケット団の一員なんですか!?」
「えー?それランスさんが言えるんですか?」
「あたりまえでしょう。私はいつもポケモンを団のためにこき使って…」
「これ、なーんだ?」

手の中に隠し持ってた石を、目の前に突き出して見せつける。ランスさんは一見ただの石ころに見えるそれを初めは怪訝そうな顔で見ていたが、だんだんと表情が変わり、さっき浮かんだ青筋が引いていく。

「あ…あなた、まさか…」
「その、まさかです。ランスさんのゴルバットくんから頂いちゃいました!あ、今頃はクロバットくんかな?」

あたしが持っていたのはかわらずの石。ランスさんのゴルバットが持っていたものだ。どうして進化しないのかと不思議に思って調べてみたら原因はこれだった。

「進化して良かったですねー、これでもっと団のためにこき使えますね!『な・つ・き』進化で強くなりましたもんねー。」
「………」
「いやー、ポケモンを道具として扱ってるロケット団で最も冷酷と呼ばれた男が…。この事をみんなが知ったらどうなるかなー?」
「…そんなことをして許されるとお思いで…?」

さっき消えたはずの青筋を復活させてこちらを睨みつけてくるランスさん。怖い。だけどちょっと頬っぺたが赤い…。ランクルスのランスくんを盾に逃げようと思ったのに、いつのまにか先に逃げていた。『トモダチ』のくせに薄情者ー!

「…あ、もうご飯の時間だし、ランスくん先に帰っちゃったし、お先に失礼します!」
「お待ちなさい!絶対に逃がしませんよ!!」
「ぎゃー足早い!神様、どうかあたしを彼から解放してえぇぇプラーズマー!!」

迫りくる鬼の顔したランスさんから、全速力で逃げだした。これまた最近はやりの呪文を唱えたのに、効き目はなし。必死で投げたかわらずの石がランスさんの頭にヒットしたおかげで、その場はなんとか乗り切ったのだった。









…その後、ランスさんの伊達冷酷説が組織中に広がったのは言うまでもない。










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