さよなら明日!
「アポロさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドガァッ!
「なまえ、ドアを蹴破るのは止めなさいといつも言っているでしょう。」
「アポロさま!匿ってください!」
「……私の話聞いてました?」
「へ?何か言ったんですか?」
「……もういいです。」
お前には何を言っても無駄でしたね。
「え、なんかそれ酷くないですか!?」
「お前の普段の行動による分析結果ですよ、諦めなさい。」
「なんですとーーーっ!」
はうっ!まさかアポロさまにそんな風に思われていただなんて!
「で、今回は何をやらかしたんですか?」
「その前に匿ってください。」
「理由によります。」
うぅっ、アポロさまが冷たい……っ!
「アポロさまのバカぁ……。」
涙目+上目使いでそう言ってみる。どうだ!これは効くだろう!
「そんな目をしてもダメですよ。理由を言わないなら、ランスを呼びましょうか。」
「それだけはやめてぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
咄嗟に演技をやめてポケギアを持ったアポロさまの腕にしがみつく。
ランスさまはダメだって!だって今あたしはそのランスさまに追われてるんだから!
「……どうやら、またランスを怒らすような何かをしたようですね。」
「はい……。」
アポロさまには隠し事できないや。でもあんな理由を言うのは恥ずかしい!
「何をしたのですか。」
「えっと、ランスさまの大事に取っていたプリンを…「嘘ですね。」はい、すみません!」
くそぅ、なんでバレたんだ。我ながら完璧な嘘だったハズなのに……!あれか、アポロさまはエスパーなのか!
「私はエスパーでもなんでもありませんが。」
「そういうところがエスパーなんですよ!」
なんで心の中読んでるんですか!ランスさまといいアポロさまといい、ロケット団では読心術でも学ぶんですか!
「で、結局何を<PiPiPiPiPiPi…>おや、ランスからですね。」
……マジですか。
アポロさまのポケギアから着信音がしたかと思うと、どうやら通信の相手はランスさまらしい。
うわ、アポロさまいい笑顔。これ言わなきゃいけない雰囲気?そうなの、やっぱりそうなの?
「し、仕方ないですね、言いますよ!あたしが――「どうしました、ランス?」っておぉぉぉぉいっ!」
なに、なんなの!?言おうとしたら出るってなに!?うわ、すっごい満面の笑みだし!こんの鬼畜がぁ!!
『出るのが遅かったじゃないですか、アポロ。』
「子犬にじゃれつかれていましてね。手が離せなかったのですよ。」
子犬ってあれか、あたしかオイ。
『子犬?貴方子犬なんて飼っていましたっけ。』
「いましたよ、結構前から。ところで、用件はなんです?まさか世間話をするためにかけてきたわけではないでしょう?」
そうだとしたらしばらく口をきけないようにしてさしあげますよ。
わ、わーお、真っ黒だ……。心なしかポケギアの向こうのランスさまも固まってる気がする。
『え、えぇ。そ、そちらに、なまえが行っていないかと思いまして……。』
よかった、初めの奇声は聞こえてなかったみたい。
あたしはアポロさまに『いないって言って』と必死でジェスチャーで伝える。これ伝わってるのかな。
「……なまえなら、ラムダと一緒にいるのを見かけましたけど。」
……伝わってた!もうアポロさま大好きだ!!
『ラムダ……彼は一度地獄を見たほうがいいようですね……。』
「まぁ、ラムダですから。」
……ラムダさま、ごめんなさい。今からあなたの元に般若が参ります。
『わかりました、行ってみます。手間を掛けましたね。』
そう言ってランスさまが着信を切ろうとする。
よっしゃ!助かった!「あぁ、待ってください。」……はい?
あれ、アポロさま、何しているのかな?なんでランスさま引き止めたのかな?あれ、あれあれ?悪い予感しかしないぞ?
『なんですか、アポロ。これから私はラムダを探(殺)しに行かなくてはならないのですが。』
わぉ、今間違いなく探す≠ェ殺す≠ニかぶって聞こえたよ!
「大丈夫ですよ、手間は取らせませんから。」
あれ、さり気にラムダさまへのこれからの仕打ちを許可しちゃってるよこの人。
『……なんですか。』
あ、ランスさま不機嫌だ。
でもこのとき、あたしはかんっぜんに油断していたんだ。
「なまえ、今回はお前に何をしでかしたのですか?」
………………ちょおっと待てーーーーーーーっ!!!!!!!ちょ、アポロさま!?あたしが言おうとしたとき邪魔しておいてなんでランスさまに聞くんですか!?ダメ!それは聞いちゃダメ!あたしが言いますから!人伝に聞くのはダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!ていうかランスさま言わないで!あれはさ、ほら、ちょっと言いにくいでしょ!?言うな!言うな!言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
『……、言うのは大変憚れるのですが。』
「気にせず言いなさい。」
いやいや、言っちゃダメです、ランスさま!!
『…………。』
「ランス?」
そんなに、痛めつけられたいのですか。
お、脅しは反則だよ、アポロさま。気のせいかな、今この部屋の温度がかなーり下がった気がするんだけど。
『なまえ、が。』
「なまえが?」
言わないでー。(棒読み) うん、わかってるよ、今のアポロさまに逆らったら命まで危ないってことくらい。
『なまえ、が……私の、し、し、』
「し?」
キャー、ヤメテー。
『し、下着を、売り捌いて、いました。』
「…………。」
あー言っちゃったー。
ブツッ
アポロさまは何も言わずにポケギアの着信を切る。ふ、振り向いたアポロさまの顔が……うは、言い表せないくらい素敵フェイスに!
あー死んだな、こりゃ。
「なまえ、……覚悟は、できていますね?」
すみません、できてません。
「さて、どう調教してさしあげましょうか。」
そう言うアポロさまの笑顔はすごく素敵だったけれど。
はは…これなら、ランスさまと追いかけっこしていたほうがよかった、かもな……。
さよなら明日!
(ちょ、アポロさま!それはそっちには曲がらn……っ!!)(どうして、ランスなのですか。)
栃さまより相互記念!
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