三毛と上司 7
「ったく……。契約者が社長夫人候補なら、先にそうと言って頂きたいです」
「ば、ばか! シーッ、シーッ!」
ぼやいた七三男の口をオッサンが塞いだ。しゃ、社長夫人だと?!
天国の親父……。
親父のいる天国にちょっと近づいたと思ったら、今度は母子共々魔界に拉致られそうな勢いなんだけど、許してくれっかな……。
ちなみに、そこでぼやいている七三男もオッサンが復活させた。
さすがに消失した組織が多すぎたらしく、サーたんが残骸をコネコネとこね直したら、七三男は子供くらいの姿になった。
「大変不本意です……」
チビ七三男は眉間にシワをよせて唸っていたが、何せ子供のすることなので、とてもかわいい。
じーっと見つめていたら、バチンと目が合った。
チビ七三男はチビのくせに、大人サイズの頃とまるで同じ笑い方をした。
「社長ご子息の配偶者となれば、次期社長も夢ではありませんね」
なっ……。
俺が愕然としていると、ミケに抱きしめられた。
「だ、ダメです。ダーリンはミケのですからっ」
「ふふん。お前程度の稚拙なテクニックでご子息を満足させられるものか」
わー、チビ男がビッチ発言を!
「み、ミケはダーリンのためならばフリルのエプロンだって平気です!」
わー、またご近所の奥様方からろくでもない知識を植え付けられたんだな、ミケ!
「その程度でサービスだというのか。それだからお前は無能だというのだ。私であれば……」
ビッチ男はもう黙れ!
俺は手頃なミケでビチ男をぶん殴り、外に放り投げた。
「なかなかやるな。我が息子(仮)よ」
「テメェも黙れ」
余談だが……結局、ミケはそのままうちに居座ることになった。
処遇についてはオッサンが「悪いようにはしない」と言っていたので、信じてもいいのだろうか。
その夜、何度もミケを求めたのは決してフリルのエプロンのせいではないのだけれど……
誤解の解ける日がくるのかどうか、少々不安な今日この頃だ。
〜おわり〜
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