『同趣味』SS・西野コンビ中三編1
『同じ趣味、違うアイツ』から、久野君SS第三弾です。進路に悩む中三編。オバカ度は控えめ、かな?
***
――バキャッ!
久々に学校で芹沢の姿を見かけたその日。すれ違いざまに、シンちゃんは鼻の骨をへし折られた。その日の芹沢の機嫌は最悪だったらしい。
「アイツ、頭おかしい」
あまりの凶行に、シンちゃんは怒るより先に呆れた。
「水平リーベ僕の船……アーッ、もうやだ!!」
鼻にまだテープ貼ってるシンちゃんが叫んだ。あ、こんにちは。キューちゃんこと久野です。
「ほらほら、東南受けるんでしょ。もうちょい頑張ろうよ」
「やる気が出ねぇ」
「シンちゃんの好きだったロングの子、女子校推薦だもんなー」
「うるせぇ。それはとっくに振られたっ!」
「あれ。東南落ちたらハチコーの二次募集しかないよ。男ばっかだよ、あそこ」
「ぐ……。そんな暗黒の高校生活は嫌だ……」
「俺だって嫌だよ。西山が落ちたら、俺だけでも東南行くからね」
「う、キューちゃんの裏切り者!!」
シンちゃんは世界一格好いいけど、頭はちょっと悪い。試験前はいつも俺の家に入り浸りで勉強会だ。
「そういや、芹沢はハチコー行くらしいよ」
「ふん。アイツは俺より馬鹿だからな。“三中の狂犬”から、“ハチコーの狂犬”にクラスチェンジだな」
「ハチ公は狂犬じゃなくて忠犬だよ」
「……くそー、今さら腹が立ってきた。一度も勝てないまま卒業とか、ありえんな」
「しかも、芹沢モテるもんね。いっつも違う女だったけど。パー子とかピー子とか、すっげー適当に呼んで平手喰らってて笑ったけど」
「女の敵め。あー、ムカツク。……よしっ、芹沢探してバトってくるわ」
「ええー、勉強は?」
即断即決。んー、まぁ、さすがシンちゃん、かな?
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