・嫉妬編2
「どうしたんですか、太田先輩……」
「はて。どうもしていないが何であろうか?」
うっすら言葉にトゲがありますよー、先輩。
ハッ、もしかして芹沢サンを勝手に誘ったことを怒ってたりするのか?
「も、もちろん来るなら太田先輩も一緒に来てくださいね?!」
「……ああ。すまない、当然一緒に誘われたものだと勘違いしていた」
少し動揺してうつむく太田先輩。ついてくる気満々でした。ってことは、原因はコレじゃない、と……。
「小山田も行くだろ?」
「そうだねー、僕は前に何度か見たことあるけどね。って、僕の名前は小山田じゃなくて、小山内……」
そこまで言った小山内先輩が、急にピンときたという表情をした。
「あのさ、芹沢君。こいつの名前、言ってみて」
小山内先輩が俺の顔を指さす。
「……瀬名カケル」
「うわ、やっぱりフルネームで覚えてる!」
エンディングの絵コンテのクレジットを見ると、そこにも「KAKERU SENA」と表記されている。小山内先輩は「OYAMADA」扱いだし、太田先輩は「KIYO」だ。
急にガタッと立ち上がって、教室から出て行ってしまう太田先輩。
小山内先輩は、オロオロしている芹沢サンをせかした。
「ほら、追いかけないと! 芹沢君は俺より瀬名のアホの方が大切なんだ、って今頃泣いてるかもよ?!」
「は? んなわけねーだろ」
そう言いながらも、芹沢さんは慌てて太田先輩を追って教室を出て行きました。
当然のようにその後ろをコソコソ追う俺たちです!
長期課題とはいえ、授業中なんですけどね一応。
まあ、『無自覚バカップルを見守り隊』としては一大事っつーことで!
太田先輩が屋上へと続く階段を昇ろうとしたところで芹沢サンが追いついて、慌てて腕を掴んで引き止めました。
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