・疑惑編3
「ちょっと話があるんだけど」
放課後、俺がそう言うと、帰り支度を済ませたところだった太田は不思議そうな顔をしながらも、校舎の裏までついてきた。
「あ、あのさ。昨日……、俺のこと、す、好きって言った?」
「うん」
俺の問いに、太田は戸惑いもなく頷いた。
「……っ、もしかしてさ、女だったりする?」
「え?」
太田がキョトンとした顔をした。
うっ……。か、可愛い……。
「あ、えっ、お、男だよ?」
めちゃくちゃ動揺してる。
「プールの時、お前どーしてたんだよ」
「……普通に泳いでたよ」
「胸隠しながらか?」
「か、隠さないよ。何言ってるんだよ」
「でも、お前!」
……あれ?
ブラウスのボタンを外して確認する。胸はなかった。
念のため、下も確認しようとすると、
「や、やめてよう……」
太田が胸元を隠しながらうずくまった。
はっ……俺は……何を……。
カァッと身体が熱くなる。
我に返って慌てて周囲を見回すと、女子高生がこっちをじっと見ていた。
目が合うと、「フッ」と鼻で笑われた気がした。ガーンガーン……。
「おっ、お前がオカマだからいけねーんだからなっ! オカマちゃんならスカートでも履けば?!」
そう言い捨てて俺は走って逃げた。
俺の、俺の……バカヤローッ!!
それ以来、時々ミニスカートを履いた太田が夢の中に登場するので、とても困っている。
***
きっと、この後あたりから自分をごまかしごまかし、ブラック飛鳥降臨ですね!
飛鳥君を惑わした一番の元凶は、おそらくイチゴのブラウスでしょう……。
(2011.9.9拍手)
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