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・疑惑編2
 そして、昨日。

「飛鳥君……あのさ、前に貸したゲームだけど」

 そう言って太田がおずおずと話しかけてきた。

 俺は随分前に太田からゲームを借りていた。

「ちょっと貸してくれない? 練習したら一緒に遊ぼうぜ」

 そう言ったら、太田は嬉しそうな顔で貸してくれた。

 一度も遊んでないけど。

「ああ、あれ……どこやったかな。今度探しとくわ」

 俺がそう言うと、太田は黙り込んだ。

 そして、深くため息をつくと、感情のこもらない声で「わかった」と言った。

 カチンと来た。

「何がわかったんだよ?!」

「え? ゲームは今度探してくれるって」

「っ、そうだけどっ。ため息とかついてんなよ!」

「……悪かった」

 そう謝られて。

「ふざけんなッ、お前は悪くねぇだろ?!」

 思わずそう叫んだ。

 すると、太田はふわっと笑って、

「……俺、飛鳥君のこと、好きだよ」

 って言ったんだ。


 ど、どこまでが夢なんだ?

 必死で思い返す。

 いつも「女みてー」と思ってたけど、実はやっぱり女だったりするのか?

 体育の着替えの時、太田はいつもどうしてた?

 つか、プールの時にいたか?

 思い出せない……。


 その日、学校に行くと、太田はイチゴ模様のブラウスと、茶色のハーフパンツ……というか、キュロットをはいてた。

 お前、絶対女だろ?!

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あきゅろす。
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