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同じ過ち 1
 親を説得し、生まれてはじめてのバイトを体験した俺だったが、初日早々に挫折を味わった。

 重い荷物でもヒョイヒョイ運ぶ芹沢に比べ、俺にとっては小ぶりの段ボールすら強敵なのだ。

 芹沢はフォローすると言っていたが、さすがに事務所の人の目に余ったようで即座に事務の方に回されたのである。

 いきなりクビにならず安心したわけだが、適材適所というべきか、俺はそちらではかなり重宝された。

 効率の悪いソフトに我慢ならず、適当にマクロを組んで伝票入力効率を上げると喜ばれたりもした。

「あー、太田君は案外エンジョイしてんだね……。あの不機嫌な人を何とかしてよ」

 勤務時間を終えた小山内が疲れ果てた表情で芹沢を指す。やたら仏頂面な芹沢がそこにいた。

「な、何か嫌なことでもあったのか?」

「太田君と離れちゃったからじゃない?」

「ウッ?! 適当なコト抜かすなよテメェ」

「不甲斐ない俺を許してくれ。俺もキミとバイトするのが楽しみだったから、本当に残念なのだ」

「……おう」

「ここのバイトって能力によってボーナスがあるらしいな。手応えはどんな感じだ?」

「もちろん狙うつもりだっつの」

「さすがだな。あんな重い荷物も余裕のようだから、俺もキミならやれると確信している」

 芹沢はあっという間に笑顔になって、俺の髪の毛をぐしゃぐしゃにした。

 小山内が「よっ、トップブリーダー」と囃し立てると、芹沢が小山内にガスッと蹴りを入れた。

 芹沢の頭を「ヨーシヨシヨシ」と撫でまくると、「く、くそっ」と悔しそうにしながらも大人しくジッとしていた。撫でられるのは好きなんだな、芹沢……。

 その姿を小山内が携帯で激写したため、芹沢がやっきになって追い回していた。

 結局、小山内は芹沢にとっ捕まって画像を消す羽目になったが、あの余裕の笑みは既にどこぞに送信済みと見た。

 小山内……恐ろしい子……。

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あきゅろす。
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