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違う過去 4
 その後、小山内が「最新の格ゲーを見てみたい」と言ったので、行き先を本屋からゲームセンターに変えた。

 金のかかるゲーセンには滅多に行かないのだが、確かに最近の流行はちょっと俺も気になったので同意した。

 近場のゲーセンの自動ドアをくぐると、あまりの大音量に小山内が耳を塞いだ。

「す、すごい音」

「ここは音量が大きめのようだな」

 格ゲーコーナーは奥の方にあった。小山内に興味があるゲームとキャラクターを選んでもらい、そのキャラクターの技を調べる。

「太田君、このゲームはやったことないの?」

「ああ。しかし、コマンドは覚えやすいから大丈夫だろう」

 コインを入れてゲームを始める。まずは練習がてらに色々と技を出すと、小山内が歓声を上げた。なかなかエフェクトが派手で面白い。

 そのうちに灰色のスラックスを履いた他校の生徒達が入ってきて急に小山内は静かになった。

 俺は黙々とステージを進めていたが、裏側にある2P側の筐体にコインが入れられる音がした。

 ――挑戦者あり!

 1人用モードが中断され、対戦モードになった。

 相手が選んだキャラクターを見て、筐体に表示されている技の名前をチラッと見る。技の名前を見るに、投げ技が多いキャラクターのようだ。

 序盤は距離をほどほどに取りながら、相手の動きを見る。そして、長距離技でひるませてから畳み込んで一気に削った。

「くそっ!」

 どうやら相手のプレイヤーはあまりマナーが良いとは言えないようで、腹立ち紛れに筐体をガンガン蹴っていた。

 その後もその男はキャラ変更をして挑んできたが、ストレート負けを繰り返すだけだった。

 男の仲間たちが「ダッサ!」と言いながらゲラゲラ笑った。

 4度目の完敗で、男が汚い言葉を吐きながらも立ち上がる気配を感じた。

「……ふーん? 誰かと思えば、オカマちゃんじゃん?」

 ゲーム中の画面を遮るように顔を覗き込んできたのは、俺の小学時代の同級生だった。

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あきゅろす。
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