同じ家 14
首を捻りながらも帰っていった店長を見送って、俺はホッと息をついた。
入れ違いのように、買い物に出ていた姉貴が紙袋を手に帰ってきた。
「あ、お姉ちゃん。手に入った?」
「モチ! とりあえず、タカちゃんはシャワー浴びてホコリ流してきてね」
「うう……」
シャワーからあがると、今度は芹沢が交代で入る。その間に俺の大改造が行われた。
髪の毛はドライヤーで乾かされ、ヘアアイロンで真っ直ぐツヤツヤに伸ばされる。
そこまではまだいい。
「……待て待てっ、さすがにブラはしないぞっ!」
「大丈夫、買ってきたばかりの新品よ。ニューモデルなんだから。内面の美しさは身だしなみからよ、タカちゃん」
「そういう問題ではない。俺は男だっ」
「あらぁ、下まで女物は可哀想だなぁと思って、男物で我慢してあげてるのよ? 総レース履かせてあげましょうか?」
「ううううう……」
セーラー服を着せられた後はメイクだ。眉をチョキチョキと整えられ、うっすらとパウダーをのせて、ホットビューラーでまつげを上げ、桜色の口紅を塗りたくられた。
「どう? 清楚な図書委員のできあがり」
「ステキ! あ、でも、もうちょっとスカート短い方が今っぽいかもぉ?」
「そうね」
「や、やめてくれ!」
抵抗も虚しく、スカートをたくし上げられた。
「うう、股下がスースーする……」
「んふふ、これはめくりたくなるわよね」
たあ、と姉貴が思いっきりミニスカートを翻したところで、母からのご要望の学ランを着た芹沢が部屋に入ってきて、俺たちの間の空気が凍った。
あああ……かろうじて股間はガードした……。
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