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同じ家 3
 朝食を終えて身支度を整えると、芹沢のバイクは庭先に置いたまま徒歩で学校に向かった。

 ほんの少し前まで、「二人で並んで歩いたら恐喝に見える」なんて考えていたのが嘘のようだ。

 しかし、今日の芹沢は無口だった。

「……もしかして具合でも悪いのか?」

「別に。ただ、誰かと一緒に登校なんて小学校の集団登校以来だからな……。何か勝手が掴めねぇっつーか」

 どうやらちょっと緊張してたらしい。

「お前もどうせ似たようなもんだろ?」

「いや、俺は中学の頃は彼女と通ってたこともあるからな……」

 俺がそう言うと、芹沢はショックを受けた顔をした。

「か、か、彼女?!」

「小学校の卒業式に告られて、それから2年間ほどだが」

「しょ、小学?!」

 芹沢はよろめいて塀にもたれかかった。

「失礼だな。そんなにあり得ないか」

「童貞みてーな顔しておきながら……卑怯だ」

「キミは中学生に何を求めてるのだ。清い交際に決まっている」

「へっ? 2年もつき合っててヤってねーの?!」

 俺の答えを聞いた芹沢はポカーンとした。

「普通はそういうものなのか? 俺は自分で金も稼いでないガキが行為に至るのは無責任だと思っている。ま、結局は愛想をつかされて別れたが」

「……そりゃご愁傷様」

「キミは彼女と一緒に通学とかしなかったのか?」

「俺、彼女いたコトねーし」

「え?! そっちの方がよっぽど意外なのだが」

「だって女ってすぐ束縛したがるし、名前呼び間違っただけで怒るし」

「そりゃ怒るだろうな」

「ま、童貞じゃねーけど」

「……それはそれで最低だな」

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