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違う印象 16
 コイン投入口に金を入れると途端に水が出てきた。

「つめてっ」

 1分くらいするとようやくお湯になってきたので頭をまず洗い流した。芹沢が貸してくれたシャンプーで洗髪していると、流し切る前に5分が過ぎ、湯が止まった。

「はやっ!!」

 俺は手探りでコインを探るものの勝手がつかめず、目を開けようとすると泡が目に入って染みた。

 その苦戦の様子が廊下まで聞こえたのか、芹沢がそっとシャワールームのドアを開けて声をかけてきた。

「……大丈夫か?」

「目が開けられない」

「くくっ、最初は俺もそうだった。待ってろ」

 バネ扉が動く気配を感じ、すぐそばでコインが入れられる音がしてお湯が出てきた。

「すまない。今、お湯かぶっただろう?」

「どうせすぐ脱ぐから気にするな。それより、腕の傷はよく洗っておけよ」

「大した怪我ではない」

「あのナイフで他に何切ってるかわからんだろーが」

「……それもそうだな」

 何とか三百円で終わらせ、芹沢に交代する。ヤツは二百円で済ませた。

「さすが。慣れてるな」

「急いでる時は百円だ」

「……5分で済むものなのか」

「あらゆるテクニックを駆使してな」

「テクニック!」

 何だか自慢げな芹沢がおかしかった。

 その後、家までバイクで送ってくれるというので、荷物をまとめる。

 今日買った服を着たので、さっきまでより荷物は減っていた。姉貴の服はサッと水で洗って、芹沢に借りたデイバッグの中に詰め込んだ。

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あきゅろす。
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