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違う印象 9
 その後、金髪君と赤外線通信とやらでデータをやりとりした芹沢の携帯の使い方を教わり託された。

 携帯の画面には「西山信」と表示されている。

「……西野君ではなかったのかね」

「芹沢は何度言っても覚えねぇから、あだ名と思って諦めた」

「……。昔からちょっぴり残念な男なのだな」

「本人の前で悪口言ってんじゃねぇよ!」

 芹沢が俺を小突く。

「……じゃあ、俺のフルネームは?」

「エ? ほら、アレだ。キモ、キモ……」

「本当に残念だ」

 俺の名のどこにも「キモ」は入っておらんわ、バカ沢め。



 キューちゃんとやらが連れ込まれたというバーまでやってくる。

「いいか、55分に俺ら二人でこっそり裏口から入る。お前は表の入り口を見てろ。キューの写真を待ち受けにしておくから、万が一中から出てくるようなコトがあれば西野に空メールを送れ。5分経ってもこちらから返事がなかったら警察に電話しろ」

「わかった。くれぐれも気をつけてくれ」

「ああ」

 裏路地へと消えていく二人を見送り、俺は表の入り口を見張った。

 それから俺はバーの入り口すぐ近くの電柱の影で、携帯電話を片手にじっと佇んでいたのだが、道路の向こう側からあからさまに「不良!」という感じの男達数人が殺気だった雰囲気をまとってこちらに向かってくるのが見えた。

 通り過ぎろ、と願っていたのに、先頭の男がバーの入り口に近づいていく。

「すすすす、スミマセン?! ちょっとよろしいですかっ?!」

 俺は考えるよりも先に身体が動き、先頭に立っていた赤い髪の男と入り口の間に立ちふさがっていた。

「……何だ、アンタ」

 鋭い目で睨みつけられて、俺は足がすくんだ。

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