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違う印象 6
 芹沢が選んだシャツを見た店員は、何枚か服を手に戻ってきた。

「彼女さん足が綺麗だし、ストーンのついたデニムのミニスカートとかどうですか。トップがミリタリーでもガーリーでも合わせやすいですよ」

 俺は全力で首を横にブンブンと振った。

「こちらのロングスカートも人気で、元々しわ加工されているので、旅行の時とか鞄に入れやすくて便利なんですよ」

 俺は再び全力で首をブンブンと振った。

 このメンズ服ばかりの店で、数少ないスカートばかりを奨めるのは本当に勘弁して欲しい。

「ギャハハ、さすがにスカートは履かねぇって」

 芹沢はどうやら店員さんの一種のギャグだと思ったようだ。

 結局、ほど良いダメージ感のあるデニム(俺には破れそうな古着に見える)とやらを芹沢に選んでもらい、購入した。

 その3枚だけで、母から託された予算をほとんど使ってしまった。

 この金があれば漫画が何冊買えることやら。……いや、考えるのはよそう。

 俺に紙袋を渡しながら、店員さんが話しかけてくる。

「いやー、でも、芹沢君が人を連れてくるなんて初めてですよね。しかも、こんな大人しいタイプだからびっくり」

「こう見えて、趣味は似てるんスけど。な?」

 芹沢が俺にそう聞くので、俺はこくこく頷いた。

「こいつの親父からチケットもらって、これからプロレス観てくるんスよ」

 そう笑顔で芹沢が言うと、店員さんは「ま、まさかのプロレス。しかも、親公認」と呟いた。……否定できないのがツライところである。

 店から出ると、芹沢は俺の腰に手を回した。こ、腰はちょっと……。


 その後、試合の前の腹ごしらえでハンバーガーショップに入った。

 俺はトイレで着替えてくると言ったが、芹沢に止められて未だに姉貴の服のままだ。

 食事中も芹沢にチラチラと視線をよこす女性客が多かった。やはりモテるのだな。

 同席しているのがこんなシケた男で申し訳ないとは思うが、女子があからさまに舌打ちするのはやめてくれたまえ。

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あきゅろす。
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