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違う印象 5
 俺は、芹沢がよく服を買うという店に連れて行ってもらった。

 そこはミリタリー系ショップらしく、確かに芹沢に似合いそうな服ばかりだ。

 お洒落な男の店員が芹沢の顔を見ると、笑顔で近づいてきた。

「芹沢君、いつもどーもー。そちら、もしかして彼女サン?」

「は? ちげーッスけど」

「あれ?」

 店員が首を捻るのも無理はない。

 芹沢の手が俺の肩を抱いているからだ。

 実はさっき、俺は芹沢の足の長さについていけず、距離が随分開いたところで人混みにもまれ、離ればなれになってしまった。

 芹沢は眉間にしわを寄せながらも探しに来てくれて、手を繋ごうとして引っ込め、腕を組もうとしてはためらい、結局こんな状態になっている。

 迷子になる心配がない今ならこの手を払ってもいいのだが、声を出して誤解が解けるとかえって芹沢に恥をかかせる気がして黙っていた。

 全ては俺にこの服を着せた姉貴が悪いのである。

「今回はこいつに服を選んでやろうと思って」

「へぇ、仲がいいんだね、彼女サン」

「だから、ちげーって」

「あ、そうだ。ちょっと前に芹沢君が買ったシャツあるでしょ。あれと同じロゴのシャツが入ったんだよ。見てみる?」

 そう言うと、店員が何枚かジップアップタイプの半袖シャツを持って戻ってきた。

「芹沢君が買ったシャツは、胸のところにワッペンがついてたでしょ。これは腕のところに小さくプリントで入ってるんだよね。さりげないペアルック〜って感じ!」

「……ペアルックはともかく、わりといいんじゃねーか。カーキよりベージュの方が似合うな。中に合わせるTシャツとデニムも選んでやる」

 芹沢はようやく俺の肩から手を離し、店頭に並んだTシャツを1枚1枚手に取り、赤系のグラデーション生地に英字が大きくプリントされたTシャツを選んだ。

「これなら、一枚でも重ね着でも使いやすいと思うぞ」

 俺は無言でコクコクと頷いた。

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あきゅろす。
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