違う印象 4
待ち合わせの2時より10分早く噴水前に着いた。
芹沢はまだ来ておらず、噴水のふちに座って到着を待った。
2時を15分くらい回ったところで、芹沢が改札から出てくるのが見えた。
芹沢はキョロキョロと周囲を見回すと「チッ」と舌打ちし、俺のすぐ近くでポケットから煙草を取り出して火をつけようとした。
「おい、そこの未成年」
俺は立ち上がり、芹沢の頭をツンとつつく。
芹沢は慌てて振り返り、俺を見ると怪訝そうな顔をし、みるみる驚愕の表情へと変わった。
「エ? エ? お前?」
「……やっぱり服、おかしかったか?」
俺は白のTシャツの上に、薄手でゆったり長めの水色の服(姉貴が言うには、チュニックというものらしい)を重ね、下はデニムの短パンに紺色のハイソックス。姉貴がプレゼントしてくれた白いスニーカーを履き、小さめの白いショルダーバッグを斜めがけにしている。
「……、眼鏡がねーと誰だかわかんねーもんだな」
慎重に言葉を選んでくれた芹沢は優しいと思った。
「もしかして、お前ンとこの姉貴の仕業か?」
前髪を止めているピンをつつかれた。ビーズの飾りがついている女物のピンだ。
「顔くらい出して歩かないと、みっともないと言われてな……。使い捨てコンタクトレンズもムリヤリ入れられたのだ」
「…………」
「すまない。服を買ったらすぐ着替えるから、ちょっとだけ我慢してくれ」
「エ、あ、いや。けっこー似合ってるからびっくりしただけだ」
芹沢は少し動揺しながら、首のあたりをポリポリ掻いた。
「つか、違和感どこ行った。足ほっせーな……お、スベスベ」
「にゃっ、人のフトモモを触るな!」
けしからん芹沢の手をベシベシ叩いたが、ヤツはニヤニヤ笑っていた。
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