違う印象 3
長期課題はとても楽しくて、芹沢も俺の家にある漫画を参考にキャラクターを作ってみたり、日が暮れるまで各キャラクターの必殺技を考えた。
そうこうしているうちに明日は日曜日。プロレス観戦の日である。
買い物にも行くつもりなので、午後2時に駅前の噴水のところで待ち合わせることにした。
「くれぐれも蕎麦ジャーで来るなよ」
「う……わかっている。家族にも聞いて、なるべくまともな格好を目指すつもりだ」
「ま、あまり酷かったら、服買って着替えればいいしな」
「よろしく頼む」
素直に頭を下げると、芹沢は嬉しそうに俺の髪の毛をグシャグシャとかき回した。
翌朝、いつもよりかなり遅めに設定していた目覚ましが鳴る前に姉貴にたたき起こされ、風呂場に放り込まれた。
何だかやたら香りのいいお湯に浸かって出ると、姉貴と母が大量の服を手にしながら、ああでもないこうでもないと言っている。
「……? 何をしているのだ」
俺が尋ねると、二人はこちらを向いてにっこり笑った。
「タカちゃんが今日着ていく服を考えてるのぉ!」
「ダーリンに恥かかせたくないもんね?」
俺は若干の不安を感じた。
「言っておくが、スカートは絶対に履かないからな?」
「やぁねぇ。当たり前でしょ、わかってるわよ」
姉貴はそう言ったが、母は花柄のワンピースを手に悲しげな顔をしていた。
「下はデニム、上は無地の重ね着が無難じゃない?」
と、渡された服。
「ちょっとこれはどうなんだ?」
「最近はそれくらい普通よ」
……結局俺は姉貴に丸め込まれ、しまいには眼鏡も奪われたのだった。
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