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同じ夢 5
「俺が着飾っても仕方あるまい。キミみたいに格好いいヤツならばお洒落のし甲斐もあるだろうし、女の子たちも喜ぶだろうが」

 俺がそう褒めると芹沢は顔がほころびかけたが、すぐに首をブンブン横に振った。

「ちげー。身だしなみってのは自分のためもあるけどよ、一緒にいる人のためでもあんだろーが。てめーが良くても、一緒にいる人まで何か言われたりすんだろ」

「……フム」


 あまり人付き合いが得意でないため頭が回らなかったが、一般的には身近な人間の服装や世間の目というものを気にするものなのかもしれない。

 確かに、母も父に自分好みの服を着せては喜んでいる。


「なるほど。俺が浅はかだった。すまない」

「いっ、いや……。うわ、何か俺、今すげぇ恥ずかしい」

 芹沢は自分の頭をポコポコ叩いて身もだえていた。

「俺、頭白くした時に、親父や兄貴に全く同じコト言われたわ」

「ふはは、そうか」

 がっくり肩を落とした芹沢が面白くて笑っていたら、思いっきりどつかれた。


「キミにはお兄さんがいるのだな」

「ま、お前んとこと違って、兄弟仲は最悪だけどな。両親とも……」


 そういえば、芹沢は高校生ながら一人暮らしをしていると言っていた。

 もしかしたら、親兄弟との不仲が原因のひとつなのかもしれない。


「……キミに似合ってると思うがな、その髪。遠目からでもすぐわかるし」

 俺がそう言うと、芹沢は一瞬寂しげな顔をしたが、すぐに嬉しそうに笑って俺の髪の毛をグシャグシャにかき回した。

「言っておくが、その蕎麦ジャーは似合ってねーよ」

「俺に似合う服なんてあると思うのか」

「学ラン?」

「……」

「じょ、ジョークだジョークっ」

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