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同じ夢 2
 その日の4時限目が日本史で、やっぱりうつらうつらしていた芹沢だったけれど、俺が貸した漫画に出てくる人物の名前が唐草先生の口から出たところで、バチッと目が覚めたらしい。

 その後はわりと真面目に話を聞いていたようだ。


「あー、びっくりした。まさかあの唐草の口から漫画の話が出ると思わなくてよ」

「……言っておくが、漫画じゃなくて史実だからな」

「わーってるって。軽く寝かかってたんだっつの。でも、教科書だとキャラ薄いなー。漫画だとあんな濃いキャラなのに」

「本当はどんな性格だったかなんてわからないし、歴史が真実とも限らないからな」

「ア? 歴史って本当にあったコトじゃねぇのかよ?」

「大体都合良く書き換えられているのだよ。『領地が欲しいので隣の国を攻め滅ぼしました』って言うより、『悪徳なヤツらに苦しむ民を救いました』って方が聞こえがいいからな」

「そんなものかね」

「今の世の中だって、マスコミの発表がいつも正しいわけじゃないだろう。よく隠蔽だ捏造だと騒ぎになっているが、それだってきっと全部じゃないからな。昔はネットもテレビも無いから、言い伝えや本で残されたものが全てだったのだと思われる」

「あー、そうかもな」

「だから、教科書に掲載するのは、主観を廃し客観的な要素を諸外国との摩擦を考慮し……」

「ちょ、待て。日本語話せ」

「……つまり、『多分こういう性格だったんじゃない?』『多分こういう気持ちだったんじゃない?』ってことはなるべく外して、実際に『多分こうだった』ということが教科書に載っているので、教科書はつまらんのだ」

「結局『多分』じゃねーか」

「そうだ。だから、昔の教科書と今の教科書は結構違うらしい」

「ま、マジか?! つか、よー喋るな。何でお前、そんなに詳しいの」

「俺は凝り性だからな。気に入った漫画があると、より一層楽しむために色々と調べ上げるのだ。歴史ものなら史実を片っ端から調べるし、スポーツ漫画ならルールブックや指南書を読みあさる。図書館やWikipediaはとても便利だ」

「恐るべしオタク魂……」

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あきゅろす。
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