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同じ夢 1
 翌朝、俺は母からいつもより大きな弁当箱を託されていた。

 恥じらう母は完全に乙女モードだった。本当に芹沢がお気に入りらしい。

 むげに断るのも可哀想だし、芹沢も昨日の唐揚げは気に入ってたようなので、声だけはかけることにした。

 しかし、芹沢が教室に現れたのは授業が始まるギリギリになってからで、席についた途端に机に突っ伏した。


 1時限目の授業が終わると芹沢が目を擦りながら近づいてきて、俺の頭を小突いた。

「お前は俺を寝不足で殺す気か! 事故るかと思ったわ!」

 そう言って、本を机の上に置く。昨晩貸した漫画だった。

「え、もう読んだのか」

「読み始めたら止まらんかった」

「寝不足にしようと企んだわけではなかったのだが……悪かった」

 俺が頭を下げると、芹沢は笑いながら俺の頭をぐしゃぐしゃかき回しながら隣の椅子にドッカリと座る。

「冗談だっつーの。この手の漫画、初めて読んだけど面白れーな」

「それは良かった」

「あー、ざっと水浴びて来るのが精一杯だったから、髪が決まってねぇわ。ワックス忘れたし、くそ……」

 髪の毛を気にする芹沢に、俺は思わず腕を伸ばした。白い髪の毛に指を通すと思いの外柔らかかった。

 芹沢は驚いた顔をしていたが、そのうち気持ち良さそうに目を細めた。

 猫みたいだな、と思っていたら、教室の隅にいた腐女子グループが、

「不良受け……?」

「でも、攻めがアレじゃ変態くさい……」

「小道具使って拘束プレイとか?」

「ソ・レ・ダ!」

 とか何とか、キャアキャア騒いでいるのが聞こえた。


 うわぁ、彼女らの脳内で芹沢があらぬ姿にッ。

 何が「ソ・レ・ダ!」なんだ。変態はキミ達だ。

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