違う呼び名 6
家に着くと、芹沢は恨めしそうに書斎を見つめていたが、俺は首根っこを引っ掴まえて自室へと向かった。
プリントはなんと18枚もあった。
1枚ずつ見てみると、日本史だけではなく、他の教科も混じっている。どうやら唐草先生は他の先生達からも色々と託されて来ていたらしい。
「……提出期限はいつだって?」
「来週の月曜日ってたかな」
「土日は暇か?」
「土曜は夕方からちょっと」
「わかった」
俺は、プリントの内容を見ながら分けていった。
「この辺のプリントは教科書を見て埋めるだけだから、まあわりとすぐ終わると思われる。英語の和訳と数学の計算がちょっと面倒だ。これは土日にやった方が集中できると思う」
「休みの日まで勉強かよ……」
「いや、無理にとは言わない。ただ、平日のみだと毎日の負担は増えるが」
「……だな。俺も平日はバイトがあるし、土日もやるしかないか」
「バイトしてるのか」
わざわざ我が家に漫画なんか読みに来てるから、てっきり普段から遊んで暮らしてると思っていた俺だった。
「ああ、22時から2時までコンビニでな」
「は? それは高校生がバイトして良い時間とは思えないのだが」
「うっせぇな。大学生ってコトにしてもらってんだよ。深夜は割がいいからな。学校にバラすなよ、テンチョーが困っから」
「わ、わかっている。しかし、それで授業中寝てたら意味がないのではないか?」
「自慢じゃねぇが、寝不足じゃなくても起きてる自信はねぇよ」
「確かにそれは自慢にはならないな」
芹沢がギャハハと笑う。笑いごとでもないのだが。
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