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同じ道、同じ言葉 38
「久々に夜景見に行かねぇ?」

 皆慈は、急に思いついたようにそう言った。

 そういえば、このレストラン。何となく覚えがあると思ったら、去年、一緒に夜景を見に行った日に入った店だった。

「……構わないが、雪は平気だろうか」

「積もってねぇし、凍結もしてねぇから、ま、大丈夫だろ」

 連れて行かれたのはやはりあの坂道だった。

「ううっ、さすがにさみぃな!」

 小雪に反射して夜景が滲んでいる。

「……キミな、行方知れずになる前……ここに来ていただろう」

 そう言うと、皆慈がピクリと反応した。

「なんで見てもいねぇのにそんなこと言えるんだよ」

「見なくてもわかる。今思い出したが、煙草の吸い殻たくさん落ちてたぞ。あれ、絶対キミだろう。ポイ捨て禁止だ」

 皆慈の頭にチョップを叩き込むと、「刑事さん、ごめんなさい俺がやりました」とフザケながらも、遠くの灯火を瞳に映して真顔になった。

「……俺な。あの光のひとつひとつに幸せな家庭があるのかと思うと、胸のあたりが何だか痛くなるんだ。俺にとっては、遠くから見てるしかない明かりでさ」

 そうか。

 そんなことを考えながら、キミはここに立っていたのか。

「キミの帰る場所もあの中にある」

「ああ。夢みたいだ」

 皆慈は、はぁ、と中空に白い息を吐きながら笑った。

「結婚式で“誓いの言葉”とかいうのあるだろ。そんな風にちゃんと誓えた人間と、その間に産まれた子供しか、あの光の中にいられないんだと思ってた」

「健やかなる時も、病める時も、……ってやつか?」

「それそれ。よく覚えてるな」

「有名な言葉であろう」

「お前、ほんと記憶力がハンパねーよな。全部言えるのか?」

「さて、どうだかな。大雑把には覚えていると思うが」

 俺は試しにそらんじてみた。

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あきゅろす。
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