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同じ道、同じ言葉 35
「ったく……」

 皆慈が携帯で『全部清の姉貴の陰謀だからな。酒混ぜられた』と、返信を打つ。少し考えて、『メリークリスマス』と付け足した。

 すかさず瀬名から『キス魔降臨?!(゚ヮ゚*)』と返信が来た。

「…………」

 皆慈がちらりとこちらを見るので頭を振ると、予想以上にクラッとした。

 おでこを押さえ、皆慈にもたれながらうにゃうにゃ呻くと、『今回は猫』と打ちやがった。手頃なところに噛み付いたら、『腕かじられた』と追記して送信されてしまった。

 もう一度かじってやろうとしたら、口をつまんでアヒル口にされた。

「クリスマスって、なんか想像してたのと違うな。普通に宴会?」

 そんなことを呟く皆慈にふごふご言うと、指を離してくれた。

「楽しくないか……?」

「いや、ま、わりと楽しい。……そうだ。これやるよ」

 皆慈がポケットから小さな袋を取り出した。入っていたのは、天然石のはまったシルバーリングだった。

「えええ……」

「何だよ、文句あんのかよ」

 俺は、畳んでおいたサンタのプレゼント袋の中から小さな小箱を取り出し、皆慈の手に乗せた。

 アクセサリーを滅多に身につけない皆慈が、セレクトショップで珍しく物欲しげに見ていたリング。幾何学模様が掘られていて、男らしいデザインのものだ。

 買うのを諦めた理由が、「殴る時に指がイテェから」だった。むしろ自制のためにはめろ。

 しかし、男同士で指輪を贈り合うのはさすがにどうかと思うのだ。

 皆慈もゲラゲラ笑った。

 俺は指輪なんてはめたことはないし、似合うとも思えないのだがな。怪訝そうな目で皆慈を見ると。

「……右手の薬指にはめると、インスピレーション? ってのが刺激されてクリエイティブな分野で活躍できるんだとよ。来年、就職活動だと思ったからなぁ」

「え、はめるなら左の薬指でしょ?」

 姉貴が俺の携帯片手に口を挟む。まあ、絶対に言うと思った。

 皆慈はそんな言葉をスルーし、さっさと右の指にはめてご満悦だった。

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あきゅろす。
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