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同じ道、同じ言葉 31
 クリスマスイブ当日。

 俺は四苦八苦しながら、使い捨てコンタクトを入れていた。

「今日は眼鏡じゃねーの?」

「ああ……。姉貴から、サンタやれって言われてな。さすがに眼鏡のサンタは格好つかん」

「ふーん。サンタってあの赤い服の太ったジジイだろ? 今日来る男ン中だと、ガキども抜かすとお前が一番ちっこいのにな」

「…………」

 思わず手が止まる。

 言われてみればそうだ。

 振り向くと、皆慈は既に気の毒そうな顔になっている。

「……やはりキミもそう思うか」



 嫌な予感は的中し、俺は今、サンタカラーのワンピースを押しつけられている。

「間違って女物買っちゃったのよー。ほら、私、お腹大きいから着られなくて」

 年明けにも子供が生まれる予定の姉貴のお腹は確かに大きい。

 しかし、姉貴。絶対にわざとだろう。

「んー、じゃあママに頼む?」

 それはかなりの熟女好きにしか受け入れられないと思うが。

「仕方ない、カイ君の叔母さんに頼むか」

 あちらの奥さんと子供達に会うのは今日が初めてなのだが。

「もう、ワガママね!」

 姉貴にだけは言われたくないのだが!



「おねーちゃん、カイ兄の彼女?」

「断じて違う」

「ねーちゃ。サンタさんどこー?」

「爺さんは腰痛で家で寝ているから代理で来た」

「尊志君、尊志君! 超かわいいね!」

 目からビームでも出せたなら、俺は今、義兄を焼き殺していただろう。

 アンタ、うちの姉貴の夫なんだから、責任持って暴走止めろよ!

 写真撮るな!

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