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同じ道、同じ言葉 16
 とりあえず、受付は2人ずつ交代でやることにして、学校祭の出し物も見て回ることになった。

「……この格好で?」

「うん、その格好で。せっかく自信作が出来たからには、宣伝しないとさ!」

 小山内に、『情報処理科2年に遊びに来てネ♪ 私たちのゲームがあるわ☆』と書いたスケッチブックを押しつけられた。

「写真を求められたらなるべく応えてね。ちゃんとポーズつきで!」

「ポーズって……」

「キャラになりきってやればいいよ。例えば……、瀬名!」

「うっす!」

 小山内がモデルガンを構えると、背中合わせに瀬名が立ち、流し目をこちらによこした。

「サービスショットなら、こんなのもいいよね!」

 小山内は瀬名の胸に飛び込んで瀬名に足を絡めると、瀬名はその背中を抱き寄せて、モデルガンをこちらに向けてニヤリと笑った。クラスの女子から悲鳴が上がる。

「慣れすぎじゃないか、キミたち」

「こういうのがどうしても無理なら、執事がたこ焼きでも何でもお嬢様にあ〜んしてやればいいよ」

「……わかった」

「いや待て、わかるなセバスチャン!」

 クラスの女子たちはさらに大喜び。俺は既にちょっと涙目であった。


 改めて見て回ると、工業高校だけあって展示物は変わったものも多い。

 機械科では全自動で目玉焼きを焼く機械を作ってエッグバーガーを売っていたし、土木科では野外に本格的な石釜を作ってピザを焼いていた。建築科のお化け屋敷は学祭とは思えないほどしっかりした“屋敷”になっていた。

 定番の喫茶店もあるし、コスプレや女装でウケを取っている生徒もわりと見かける。

 そんな中でも、俺の非日常的な衣装と皆慈のイケメン執事っぷりは異彩を放っていて、少し廊下を歩いただけで痛いほどの視線を感じた。

「やっぱ、執事はお嬢様より三歩後ろを歩いた方がいいのか?」

「……頼むから俺を一人にするのやめてくれまいか」

 うっかり個人の趣味と思われたら悲しすぎるではないか。

 こうなると告知用のスケッチブックが逆にありがたくて、執拗に周囲に見せながら歩いたのだった。

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