同じ道、同じ言葉 15
10月に入り、学校祭はあっという間に迫ってきた。
俺たちの長期課題班では、キャラクターを増やしたり、必殺技を出した時にカットインを入れたりと、グラフィック担当の皆慈と小山内の負担はかなり大きかったと思う。
小山内からグラフィックソフトの使い方を教わった皆慈は、驚くほどのスピードでマスターした。
音楽や効果音を担当する瀬名とも綿密に打ち合わせをして、着々と仕事を進めている。
ゲームキャラクターの声は、姉貴が声優の卵の友達に声をかけまくって、ゲームが完成したらコピーを差し上げるという約束で、なんと無償で提供してもらうことができた。
俺はといえば、自分でも気がつかなかったが結構テンションが上がっていたようで、ゲームクリア後に選択できる“鬼”モードを勢いで作り上げた。
テストプレイした皆慈はステージ1で早々にK.O.されて、「アホか!」と俺を小突いた。そこそこクリアできる難易度に抑えたつもりだったのだが……。
そして、学校祭当日――。
俺は、ゴスロリお嬢様(猫耳Ver.)としてその場に立っていた。
本気だったのか、瀬名……。
言うまでもないが、ゴスロリお嬢様とは、小山内がデザインしたゲーム内キャラクターだ。小山内も女刑事のキャラクター(婦警服Ver.)のコスプレをしている。
瀬名は黒いスーツに黒い中折れ帽を被り、火のついていない葉巻をくわえながらモデルガンを2丁構えているし、皆慈も「あんまバイトとかわんねーな……」と言いながら執事服を着込んで、髪も後ろになでつけている。
「ゴスロリちゃん……俺のハートは1年前のキミに撃ち抜かれちまったままだぜ!」
瀬名がノリノリでモデルガンを俺に向けてウインクをしてくる。
「セバスチャン、あの不埒者をつまみ出しなさい」
俺がそう言うと、皆慈は指をボキボキ鳴らし、瀬名の首根っこをひっ捕まえてズルズルと部屋の外に連れ出した。
「え、ちょ、待ってセバスチャン! 学祭終わってからにして!」
大慌てて叫んだ瀬名に、小山内が「殺し屋、よわっ」と呟いた。
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