同じ道、同じ言葉 14
球技大会のサッカートーナメント戦は情報処理科2年は昨年と同じく3位、1年と3年は一回戦負けだったが――
学科対抗のリーグ戦では見事に優勝を飾ったのだった。
大会を終え、選抜チームの打ち上げを行ったカラオケ宴会ルームで、俺が集めて分析した資料を見た副会長が「生徒会に立候補しない?」と言ってきたが、丁重にお断りした。
「いやー、他の人に対する指示はやたら的確なのに、芹沢君には『とりあえず超次元サッカーで中央突破してシュート』だから、吹いたよ僕は」
小山内が腕を組んで呆れたような顔をしていた。
「最もアイツが理解できるように言ったつもりだ」
「そんな指示でゴール決める芹沢君も芹沢君だよね。何かほんとに超次元的な技でも出したらどうしようかとハラハラしたよ……」
「敵のタックル喰らってもビクともせずに直進する芹沢サンは、存在がもはや超次元でした」
「それは言える……」
瀬名の言葉に、小山内もウンウンと同意した。
「しかし、あれは他のメンバーがしっかりと自分の仕事をしていたこその戦法だ。皆慈は隠し球みたいなものだからな」
俺は心から選手たちをねぎらった。
そういや何だかやけに大人しいなぁ、と皆慈の方を見やると、ちょうど缶ビールの蓋を開けて口をつけようとしていて、思いっきり後頭部を張り倒してやった。
「今日くらいいーじゃねーか。勝利の美酒だって!」
「やかましい。せっかく復学できたのに、どこぞからバレて停学になりたいのであろうかキミは!」
「な、なりたくない」
「羽目を外すな、とは言わないが、せめて外ではやめてくれたまえ。な?」
「わかった……」
シュンとしながらも、皆慈はビールをテーブルに戻した。
「くふっ……。“三中の狂犬”が見る影もないねぇ」
そのやりとりを見ていた副会長が笑いを堪えていて、皆慈がギッと睨んでいた。
「学祭の打ち上げは僕の家でやろうよ。うち、酒屋だから。絶対バレないよん」
小山内がニッと笑ってVサインをすると、途端に皆慈の目が輝いた。
俺はため息をついて「まずは、ゲームを完成させてからの話だ」と言うと、残りの3人が元気よく「ラジャー!」と返事をした。
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