同じ道、同じ言葉 13
夏休みはあっという間に過ぎた。
みんなで花火大会もお祭も行って。
部活やバイトにも精を出して。
皆慈のケツを叩きながら宿題も終わらせて。
俺たちは、去年の分を取り返すがごとく、夏を満喫したのだった。
9月に入り、二学期が始まるとすぐに球技大会が行われた。
昨年、俺はまだ怪我が治りきっておらず試合に出ることはなかったのだが、その代わり相手チームの戦力の分析や戦略などで貢献し、2年3年をさしおいて3位に入賞した。
昔から父とサッカー観戦をしていたし、よくその手のゲームでも遊んでいたせいか、案外そういう能力に俺は長けていたのであった。
小山内などは、俺のデータを元に敵の穴をつく華麗な攻撃で活躍しすぎて、サッカー部に拉致られたほどだ。
「芹沢がいれば、優勝も狙えたかもなぁ……」
そう言ったチームメイト達は今年の球技大会で実行委員に立候補し、全クラスのトーナメント戦の他に、学年無視の選抜チームで学科対抗リーグ戦を立ち上げた。
「今年こそ頼むぜ、芹沢!」
元のクラスメイトからの推薦で、皆慈はサッカーの選抜チームに選ばれた。
さすがのアイツも、今年は「かったるい」とか「フケよう」とは言わなかった。
もちろん俺はそのチームのメンバーに選ばれることはなかったのだが、昨年の実績を買われて、ブレインとして入れられた。
「そもそも、芹沢君がちゃんと言うことを聞くのって太田君だけだからね……」
小山内の言葉に瀬名も頷いた。俺は外国人選手の通訳か。ちなみにサッカー部所属の小山内と瀬名も選抜選手だ。
情報処理科3年からは、我が校の生徒会副会長も選ばれていた。
「……昨年はどうもお世話になりました」
「いえいえ。結局あまりお役に立てなかったけどね」
人の良さそうな笑みを浮かべる副会長に、俺はペコペコと頭を下げる。
副会長が3年の人たちの元へと戻っていくと、すかさず皆慈が寄ってきた。
「……清、お前なんでアイツと仲いいの」
「仲良く見えたならキミの目は節穴である。緊張して嫌な汗かいたぞ」
ハチコーの生徒会は不良チーム《カブキ》の巣窟で、俺は昨年、皆慈の行方を捜すために彼らに頭を下げたのだった……。
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