同じ道、同じ言葉 6
「おっ、ここでビーチバレーできるぜ!」
浜に行くと、西山が目ざとくネットを見つけた。ボールも借りられるようだったので、突発的に遊ぶこととなった。
ちなみに、俺は審判だ。完全に足手まといだからな。
「気にすることねーのに……」
と、みんなは言ってくれたが。
係の人の助言で、日焼け止めだけは念入りに塗る。これを怠ると、全身水ぶくれになるらしい。
皆慈に頼まれて背中に日焼け止めオイルを塗ってやり、飛鳥にも……と思ったがあたふたと逃げられ、久野に頼んでいた。
「……飛鳥君に避けられている気がする」
俺がそう呟くと、
「そこは気が付かないふりをしてあげるべきだと思うよ、僕は」
と小山内はウンウンと意味深に頷いた。
「清、背中出せ」
皆慈がオイルをカシャカシャと振りながら言うが、俺は押しとどめた。
「ずっと上は着てるつもりだからいらない」
「そう言わず、たまに太陽当たっておけよ」
「え、ちょっ」
悪戯小僧のように笑った皆慈は俺の着ていたパーカーをはぎ取り、砂浜に押さえ込むようにして背中にオイルを塗り始めた。
「にゃっ、冷たっ……ひゃん! やめっ、ふみゃあっ」
超くすぐったい!
「うおおっ、先輩これはっ……」
「えろいこれはえろい!」
瀬名と小山内がギャアギャア騒いでいる。
「あああ、もうやめろっ!!」
見るに見かねた飛鳥が皆慈を突き飛ばして、俺の身体にパーカーをかけた。
「何しやがる、コノヤロウ……」
険悪な表情で皆慈が飛鳥を睨む。
「……うるせぇ、空気読め馬鹿」
飛鳥も珍しく睨み返していた。殺伐としたビーチバレーの開幕である。
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