同じ道、同じ言葉 4
復学後、皆慈は叔父さんのところのコンビニバイトに戻ったが、深夜ではなく、夜からの週3日に変更してもらった。
休日の朝には宅配の仕分け、ランチタイムはイタリアンレストランのバイトもしている。
金の心配は無くなったというのに、本人曰く「貧乏性が染みついている」のだそうだ。
飛鳥は今でも皆慈の代理で始めたバイトを真面目に続けていて、今ではすっかり人気店となったレストランで、皆慈と共に黄色い声を浴びている。
レストランでバイトをするうちに、飛鳥は料理に興味が沸いたそうで、俺の母から料理を習って今ではなかなかの腕前となっている。高校を卒業したら調理師専門学校へ通うつもりだそうだ。
仕分けバイトは皆慈と飛鳥だけではなく、俺と小山内も続けている。
そのため、休日の午後は4人で遊ぶことが多くなった。
小山内は俺らの話を聞いてニヤついているだけだが、皆慈と飛鳥は格闘ゲームの腕前が近く、本当によく一緒に遊んでいる。
たまに二人で俺に闘いを挑んではコテンパンにやられ、二人一緒にションボリしている。
再会したばかりの頃、さすがに飛鳥は気まずそうだったのだが、皆慈は全く飛鳥のことに気がついていなかった。
髪の色が違ったせいだと思う。多分。
以前から飛鳥に「髪染めたいなら染めてもいいんだぞ? 茶髪似合ってたんだし」と伝えていたのだが、飛鳥はなかなかそれをよしとせず、皆慈が地元に戻ってそこそこの関係を築いてから、ようやく前のような色に染め直した。
その髪を見た皆慈はしばらく考え込み、ハッとしたかと思うとみるみる怒りの表情を浮かべ、すぐに困惑して情けない顔になった。
「何を百面相しているんだ、芹沢は」
「ああ、飛鳥君が俺を虐めていた張本人だと気がついたな、これは」
「ええええ、今?」
「……うっせぇ。何でお前、清の傍にいんだよ!!」
今さら噛みつき始めた皆慈を俺が蹴り飛ばすと、悲しげな目で振り返られた。
「キミな、ものすごーく今さらだ」
「だ、だってよ、コイツがよぉ……」
「……本当に二人には悪かったと思っている」
その後もしばらく飛鳥はうなだれ、皆慈も頭を抱えて隅の方でいじけていたが、気が付けば一緒に格ゲーで遊んでいたので、まぁ、心配はないと思われる。
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