同じ道、同じ言葉 3
皆慈の問題が解決した頃、姉貴と児島さんはめでたく結婚した。
後から聞いた話だが、俺の怪我のことがあってずっと先延ばしにしていたのだそうだ。
姉貴のウエディングドレス姿は本当に綺麗だったし、キラキラと笑顔を浮かべる児島さんもどこぞの王子様のようだった。
幸せになれよ、姉貴……。
しかし、ブーケを俺の元に投げるのはやめてくれ。
それから、多感な高校生への引き出物に使用目的すら解らないような奇っ怪な大人のオモチャを包むのもやめてくれ。俺と皆慈、二人で青くなったではないか。
姉貴とすっかり仲良しの小山内は大爆笑しながらオモチャを取り出してスイッチを入れようとするし、何故か式に呼ばれていた飛鳥は袋の中を見た途端に真っ赤になって一言も口を利かない。
悪魔のような笑みを浮かべる姉貴と、アルカイックスマイルで俺たちを見守る児島さん。うう……腐った家族が増えた……。
姉貴が家を出たため姉貴の部屋を皆慈が使うことになったのだが、本棚にはたっぷり「置き土産」が並んでいた。
姉貴は皆慈の襟首を掴み、「読んでもいいけど、捨てたらコロス」と脅していた。
よせばいいのに、皆慈は興味本位で薄い本をめくって撃沈していた。よくそんな勇気が湧いたものだと思ったが、それなりに深い理由があったらしい。
最近、女性の大半が実の母親の姿と重なるようになり、言い寄られても嫌悪感しか湧かなくなったらしい。もしかしてホモにでもなったのかと心配だったそうな。
「……で、どうだったんだ」
「あー。無理……」
その同人誌をめくってみたが、俺もこれはマニアックでエグイと思った。さすがに姉貴の秘蔵の品。ハンパない。
「まぁ、精神的なものだろう。きちんと見分けられる女性なら平気なのではないか」
「女ってみんな似たよーなカッコで似たよーな化粧するからよ、みんな同じに見えるんだよな。かといって、毛色の違うヤツは色気がなくて女に見えねーし……」
「そうか……。いい人が現れるといいのだが」
「あ、清の母ちゃんと姉貴なら見分けられるわ、俺」
「おい。人妻に手を出すのはやめろよ?!」
「俺は手当たり次第か! それ言い出したら、一番見分けられるのお前だっつの!」
「…………俺に手を出すなよ?」
「うわ、何その目! 傷つくっつの!」
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