同じ道、同じ言葉 1
俺の名は太田尊志。あだ名は清。
八坂工業高校の2年である。
最近は剣道など始めたが、基本的にはただのオタクである。
将来はゲーム業界で働くのが夢である。
親友の芹沢皆慈と一緒に。
「じゃ、後でな」
軽く手を振ると、皆慈も照れくさそうに片手を上げた。
俺は2年の教室へ。アイツは1年の教室へ。
本当は一緒に卒業したかった。しかし、済んだことを悔やんでも仕方ない。
アイツがまた夢を目指せるようになったことが、今の俺には何よりも嬉しい。
人見知りが激しくて寂しがり屋なアイツが、留年したせいで孤立しなければよいと願っている。
2年に進級する際、学校祭に向けての長期課題の班を学年をまたいで作ることができないかと、小山内と共に担任へ掛け合った。
事情を知っている担任が上に話を通してくれて、長期課題の時間を全学年で統一してくれた。
4月には小山内の中学時代の後輩で、昨年の課題の時に曲を提供してもらった瀬名君が情報処理科に入学した。
長期課題開始時期になると、瀬名君を加えてさっそく3人で班を作った。
「俺、去年の学祭で先輩達の作ったゲームで遊んで、超感動しました!」
長身の瀬名君だったが、子供のように目を輝かせていた。
「去年は色々と時間が足らずに結局キャラを減らしたし、システムも煮詰めるところまで出来なくてな。今年はあのゲームのバージョンアップを試みたいのだが」
「ほんとですか、楽しみだなぁ!」
素直でいい子だった。
皆慈が復学する際も1年の間には既に色々な噂が流れていて、瀬名君も初めて会った時はビビっていたようだが、アイツがあのゲームの立役者と知った途端、あっという間に懐いていた。むしろ皆慈の方がビビるくらいに。
今では小山内と共に一年の教室に乗り込んで、4人で昼飯を食べるのが日課となっている。
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