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違うアイツ 13
「ここでごやっかいになってるうちの生徒を引き取りに参りました」

 ジジイが、にこりともせずに言った。

「……やっちまいな」

 所長が冷たく言い放つと、怖じ気づいていた所員がナイフを振りかざしてジジイに襲いかかった。

 次の瞬間には「カン!」とナイフが木刀でいとも簡単にはじき飛ばされていた。

「ざけんなジジイ!」

 残りの所員たちも、俺を押さえている一人を除いて動いた。

 ジジイの目が「カッ!!」と光った気がした。

 キエェイッ、という気合いと共に、男達が次々と床にうずくまっていく。

 舌打ちをした所長が懐から出したのは――黒光りする拳銃。

 ……そのトリガーが引かれる間もなく。

 ボキン!!

 人間業と思えないほどの素早さで間合いを詰めたジジイが、気合い一閃、所長の右腕を叩き折った。


「おお、さすがは教士八段……」

 所長のうめき声の中で、アイツは感銘を受けたように言った。

 俺はただただ呆然としていた。

 部屋の隅では母親が震えながらすすり泣いていた。

 それからすぐに、背広の男達が「警察だ!」と叫んで事務所に踏み込んできた。

 俺の上に乗っていた男が、観念して手を挙げた。


「か、唐草先生。ご無事でしたか!」

「遅い」

「勘弁してくださいよ……。一般人に無茶させたとか、始末書ものですよ。しかも、ほとんど壊滅状態だし……」

「急を要してな。手加減はした」

「唐草先生には適わないな……」

 駆けつけた刑事のうちの一人が、ジジイにペコペコと頭を下げていた。


 唐草……。俺の通っていた学校の先公の名前だ……。

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あきゅろす。
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