違うアイツ 4
俺は、倉庫として使われていた離れに押し込まれた。
その家には父親の他に、父親の妻と、俺よりいくつか年上の兄がいた。
けれど、今となってはそいつらの名前も覚えていない。
その家で覚えているのは、叔父貴のコトだけだ。
当時からコンビニの雇われ店長をしていた叔父貴は、離れでぐったりしている俺を見つけて仰天した。
その後、本宅の方で叔父貴が大声でやりあっているのが聞こえた。
それから叔父貴はいつも俺を気にかけてくれ、食べ物なども持ってきてくれるようになったけれど、母親に「他人の世話になってはいけない」と躾られていた俺は、なかなかそれに手をつけようとしなかった。
強情な俺に折れた叔父貴は、「じゃあ、俺の店でアルバイトしよう」と言った。
今考えてみれば小学生にできる仕事なんてたかがしれており、叔父貴の方便だったのだけれど、俺はがむしゃらに働いて、小遣いとコンビニのお弁当を貰った。
生きていくために必要なスキルのほとんどは叔父貴に教えてもらった。
中学3年の頃に、「荒れるのもいいけど、喧嘩じゃ飯は食えないぞ?」と叔父貴に言われて、それもそうだ、と俺はようやく将来の事を考え始めた。
俺がやりたいコト。好きなコト。
俺は、絵を描くのが好きだった。
コンビニに入荷する少年漫画雑誌を叔父貴によく読ませてもらっていた。
人の顔の区別のつかない俺だったけれど、絵なら大丈夫だった。
漫画を読むようになると少しは感情表現が出来るようになって、自分でも絵を描くようになった。
そして、ゲームも好きだった。
ボタンを押せば、反応が返ってくる。
ただそれだけなのに、俺はゲームというものがたまらなく楽しかった。
パソコン関係のスキルを身につけられて、しかも馬鹿でも入れる高校……と、叔父貴が探してくれたのがハチコーだった。
高校入学前に誕生日を迎えた俺は、早々にバイクの免許を取った。
子供たちのために車を買った叔父貴が、これまで乗っていたバイクを入学祝いにくれた。
意気揚々と入学した高校だったけれど、蓋を開けてみれば、勉強にはついていけず、バイトとの両立で精一杯の俺がいた。
そんな時に……アイツに出会った。
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