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違うアイツ 3
 子供の頃、俺は学校から帰るとすぐに近所の公園へと追いやられた。

 恋人に子供の存在を隠そうとしていた母親に、男が帰るまで外にいるように言われていたから、俺はコンビニのおにぎりを囓りながらいつも公園のベンチに座っていた。

 夜中になっても男が帰らないのはしばしばで、ある日、巡回中の警官に見つかって家に連れ戻された。

 俺が夜遊びしていたとごまかして頭を下げた母親は、翌日から学校から帰った俺を押入に閉じこめるようになった。

 男が来ると、決まって寝室の方から母親の苦しいような、それでいて甘えているような声がひっきりなしに聞こえてくる。

 今ならば何をしていたのか理解できるけれど、当時の無知な俺が母親を心配すると、生まれて初めてゲームを買ってもらった。

 暗い押入の中でおにぎりを食べながら、俺はイヤホンをして携帯ゲームに夢中になった。

 それが普通で、別におかしいとは思っていなかった。

 母親のためになるのだと信じて疑っていなかった。



 ある日、母親が綺麗な指輪をしていた。

 母親はじっとそれを見ては、何だかとても嬉しそうだったのを覚えている。

 だけど、俺の顔を見た途端にいつもののっぺらぼうに戻った。

 その日のうちに鞄に服を詰められ、大きな家に連れて行かれた。


『私、結婚することになったの。これ、邪魔だからアンタに返す』

『ふざけるな! 大体、俺の子供だという確証がどこにある』

『どう見てもアンタと瓜二つじゃない。何ならDNA鑑定でもしたら? 私はアンタの家庭をぶち壊したくなかった。その代わり自分の人生が台無しになったわ。でも、今さら慰謝料をよこせって言ってるんじゃない。優しいもんでしょ?』

『……』

『高校も出られなかった私が、これまで養育費も貰わないで7年も育ててやったわ。アンタもそれくらいの甲斐性はあるでしょ』


 俺の前から母親は姿を消した。

 母親から「アンタの父親だよ」と指さされた男は、俺を汚いものを見るような目でチラリと一瞥するだけだった。

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あきゅろす。
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