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同じ過ち 16

 リハビリは順調だった。

 後から聞かされた話だが、脳の手術をしただけに、意識が戻っても障害が残る可能性を覚悟するようにと言われたそうだ。

 命が助かり、ちゃんと歩けるようになった今でこそ、笑って言える話だが。

 8月の下旬に無事退院し、体育以外ならば授業にも出られることになった。


 始業式の日。

「太田君……これ」

 小山内が、複雑な表情で俺にスケッチブックを差し出した。

 長期課題のキャラクターのモーション画だった。

 最後のページに、「あとは頼む。すまない」と書いてあった。

「…………」

「仕方ないな。アイツが戻るまで、二人で頑張ろう」

「……うん」

 小山内がグスン、と鼻を鳴らした。


 その日の放課後、担任と唐草先生に呼ばれた。

 二人とも、俺の両親から今回の事件のことは連絡を受けている。

「身体の方はいいのか?」

「無理は出来ませんが、通常の生活には支障はありません」

「それならよかった」

 担任が一度唐草先生をチラッと見て、口を開いた。

「芹沢が、退学届を出した」

「……そうですか」

 予想はしていたので、驚きはしなかった。俺は、鞄の中から封筒を出した。

「これは?」

「芹沢がうちに置いてった金です。アイツ、学校を辞めたくなくてずっとバイトしてました。でも……これ置いて勝手にいなくなって……」

「……退学届だが、俺が一時的に預かることにしようと思う」

 唐草先生がそんなことを言った。

「本人の意志確認のない届出の上、両親と連絡すら取れないからな。場合が場合だけに、とりあえずは休学扱いにしようと思っている」

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あきゅろす。
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