同じ過ち 10
ガララッ!
倉庫の扉が開かれた瞬間、ライトが入り口に向けて一斉に照らされる。
林の思惑通り、芹沢は目を――眩ませることはなかった。
芹沢はスモークのフルフェイスメットを被ったままだった。
扉の側で待機していた男の持っていた鉄パイプが振り下ろされる前に、男のアゴに芹沢の拳がめり込んだ。
その手からこぼれ落ちた鉄パイプを受け止めた芹沢は、そのまま後ろにいた男の脇腹を鉄パイプで打った。ボキッという音がして、男は地面に倒れ込む。
さらに襲いかかってきた男の急所を蹴り上げて、次の標的に狙いを定めた。
「何なんだアイツ……」
俺を抱えていた飛鳥が、全くひるまない芹沢を見て、ぶるっと震えたのがわかった。
全員が入り口の方を向いてる瞬間、西山と久野がロープをほどき、西山が飛鳥に体当たりをかました。
飛鳥を押さえつけてる間に久野が二人を拘束していたロープで手早く飛鳥を縛り上げる。
「おっしゃ、俺も加勢してくるわ!」
口からガムテープを剥がした西山が腕をぐるぐる回した。
「身体動くか?」
「時間稼ぎくらい何とかなンだろ。キューちゃんはオータと飛鳥見てろ」
「合点」
西山の動きに気がついて後ろから襲いかかろうとした男には、久野が跳び蹴りをかました。
「オータ君、俺はそんなに喧嘩強くないから、なるべく捕まらないようにねー」
「善処する」
「……おい。時間稼ぎってどういうことだ……」
飛鳥がそう呟いた。
「早川君経由で警察呼んだ」
「は? 早川って《シエル》の早川か? どうやって……」
「言うならば、久野君へのアフターケアか? まぁ、大人しく縛られていたまえ。巻き添え食うぞ」
「ざけんな……。俺は……」
「反論は許さない。俺は怒ってるからな」
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