嫉妬未満 2 「青葉!」 大型書店の文具コーナーで突然声を掛けられた。 振り返ると、中学時代に生徒会で一緒だった男子だった。 「……沢木君?」 私が記憶を掘り起こして名を呼ぶと、彼はすごく嬉しそうな顔をした。 「久しぶりだなぁ、卒業以来だからもう1年半ぶりか。元気だったか?」 「ええ。沢木君は?」 確か沢木君が通っているのは私立の開聖高校、進学校だ。 彼は整った顔立ちに気さくな性格、頭まで良かったので中学時代はモテモテだったと記憶している。 彼が生徒会長で、私は副会長だった。 実の所、お互い内申点稼ぎのために役員を引き受けたと思っている。 「さすが開聖はレベルが高くてさ、気を抜くと置いていかれそうで毎日必死だよ。青葉は花椿だったよな。やっぱお嬢様ばっかなのか?」 「ほとんどね。今の生徒会長なんか縦ロールで薔薇背負ってる感じ」 「マジか、少女漫画の世界だな……。やっぱ女同士のカップルとかもいんの?」 沢木君は未知の女子校の世界に興味津々のようだった。 「私、後輩からラブレター何回かもらったわ」 「マジか」 「うん」 「つき合ってんのか」 「そんなわけないでしょ」 「そ、そうか」 「別に恋人も欲しくないし」 沢木君はホッとしたのかガッカリしたのか複雑な顔をした。 [*前へ][戻る][次へ#] |