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通りすがり以上 3
 私は、月曜日と木曜日の学校帰りに買い物をする。

 近所のスーパーで生鮮品が安売りするからだ。

 しかも、タイムセールのある時間帯でとにかくお得だ。


 朝食とお弁当は母が作ってくれるのだけれど、母は仕事で夜遅いので、中学時代から夕飯は私が作る事にしている。

 母子家庭の我が家は、他の大半の生徒たちと違いお金持ちとは言えない。

 食べるのに困るほどではないけれど、悠々と遊んで暮らせるような身分ではない。

 というわけで、普段から節約に励んでいる。


 今日の目玉は、卵1パック88円と、鮭の切り身1切れ75円、キャベツ78円。

 今朝のチラシでばっちりチェック済みだ。


 ただ、今日の私は掃除当番。

 一番人気である玉子が残っているかいないか、ギリギリの時間帯になるだろう。


 掃除を終えて大急ぎで駆け込んだスーパーは、ものすごく混雑していた。

「……あっ、あった!」

 玉子の最後の1パックをかすめ取るように手に入れた私は、満面の笑みを浮かべて他の買い物に取りかかる。

 私は、一回の買い物は二千円以内で収めるようにしている。

 千七百円以内だとベスト。


 一ヶ月の予算は二万円で、残ったお金がお小遣いなのだ。

 週に二回、月に九回ほど買い物に出るので、千七百円に収めれば毎月五千円くらいのお小遣いになる。

 高くて重たいお米や調味料は週末に母と買い出しに出掛けるので別予算だけれど、私は努力次第でお小遣いが増えるこの方針が気に入っている。


 お目当ての品の他にも肉や食パンなどを吟味しながら買い込み、予定通りの金額に収め、人だかりのレジに並ぶ。

 ようやく次が自分の番となり、私は鞄から財布を取り出そうとして、


 ――財布を忘れた事に気がついたのだった。

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あきゅろす。
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