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嫉妬未満 3
「青葉はもう進路とか考えてんの? やっぱエスカレーターで女子短大?」

「ううん。できれば四年制に行くつもり」

「っ、どこかもう決めた?」

「まだだけど……」


 会話が途切れた。

 正直、ちょっと困っている。


 私は人と話すのがあまり得意ではない。

 自分が面白い事も可愛らしい事も言えない性分なのは自覚している。

 特に、男に対しては……。

 今は普通に話しているように見えて、結構緊張している。


 うぬぼれかもしれないけれど、沢木君は中学の頃、私の事が好きだったと思う。

 私はそれがイヤでイヤで仕方がなかった。

 沢木君は嫌いではない。

 だけど、そんな彼から自分がそんな目で見られると思うと、どうしても距離を置いてしまう事が多かった。

 彼が“友人”から“男”になるのがたまらなく怖かったのだ。


 そんな微かな怯えが彼に伝わったのかもしれない。


「青葉。俺、何か気に障るような事言ったか?」

 それなら謝るけど、という彼の言葉に、上手く態度を取り繕えていなかった事に気がついた。

 無理矢理笑顔を浮かべる。

「……そうじゃないの。実は学校の友達がずっと学校を休んでいて、心配で。私に何か出来る事はないかって考えてた所だったから。こちらこそ上の空でごめんなさい」

「そうか……。そんな時に悪かったな。力になれる事があれば遠慮なく言ってくれよ……」


 彼はまだ何か言いたげだったけれど、私はひとつ礼を言うと逃げるように別れを告げた。



 ……ごめんね、沢木君……。

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