嫉妬未満 1
ナオミが今日も学校を休んでいた。
いつも元気いっぱいの彼女が月曜日から三日連続で休むなんて初めてで、心配になった。
押しかけてお見舞いするには家柄が違いすぎて、躊躇してしまう。
明日にはきっと来る。
そう信じ込もうとしたけれど……
翌日、四日目になっても携帯電話すら繋がらなかった。
今にも降り出しそうな空模様が私を不安にさせた。
花椿女学院では生徒の名簿が配られる事はない。
名家の娘が多いため、名簿の悪用を恐れての事だ。
だから、もし生徒の住所を間接的に知りたい時は、担任を経由して承諾を取るのが規則になっている。
先生の事情を話すと「青葉さんは櫻川さんと仲が良いものね」と、連絡を了承してくれた。
ところが……
「櫻川さん、まだ人と会える状態じゃないって……お母様が」
「えっ……」
「明日もお休みするという事よ。前に聞いた話では怪我や病気ではないらしいのだけれど……」
一体、ナオミはどうしてしまったのだろう。
「青葉さん、お手紙を書いてみてはどうかしら。プリントを明日まとめてご自宅に郵送しようと思ってるの。青葉さんさえよろしければ一緒に送りましょう」
「本当ですか」
「櫻川さんもお友達の言葉がきっと励みになるはずですもの」
「……ありがとうございます、先生」
先生の言葉に、今日の学校の帰りは可愛い便せんを買って行こうと決めた。
[次へ#]
無料HPエムペ!