憧れ以上 6 その日から私は猛勉強をした。 これまでも学年上位の成績だったけれど、得意分野ではなかった社会分野の教科に重点を置くようになった。 興味を持ってやってみれば苦痛な事などひとつも無く、知らなかった事柄を遡ると意外な歴史にぶつかったりするのが面白くて、どんどん夢中になっていった。 社会はいくつもの人生が絡み合う、壮大な物語だったのだ。 それから、私はアメリカ人とのハーフであるクラスメイトの櫻川ナオミが苦手としている数学と古文を教えてあげる代わりに、英会話を教わった。 そうやって苦手分野を克服していった結果―― 「サキ、主席だって! すごい! おめでとう!」 ナオミはまるで自分の事のように喜んでくれた。 彼女も大幅に成績が上がったという事でガシッと握手。 ナオミは有名な櫻川グループのお嬢様ではあったけれど、アメリカで育ったせいかすごくフレンドリーで、この学校の中では唯一名前を気軽に呼び合う仲になった。 こんな風にお互いを高められる友達が出来たのは初めてで、友達っていいなぁ、と思えるようになっていった。 ある日、担任の先生から呼び出しを受け、進路の話をされた。 「青葉さんの成績ならここの短大でも間違いなく特待扱いになると思うけれど、先生はちょっともったいないって思ってるの。四年制の大学を目指してみる気はない?」 その言葉に、私はにっこりと笑って言った。 「先生、実は私――」 [*前へ][戻る][次へ#] |