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憧れ以上 1
 もう会う事もないと思ってたおじさんと再会したのは、二日後の土曜日だった。



 私は本屋で参考書を買った後、ちょっと奮発してお洒落な喫茶店でアイスコーヒーを飲んでいた。

 コーヒーは苦かったけれど、ソファがふかふかで気持ち良かった。


 その長ソファを共有する隣の席に背広姿の男性が二人やってきたので、私は通路側に置いていた鞄を慌てて窓側に移す。


「ありがとネ!」


 私の行為に気がついた男性が、私に軽く礼を言った。

 その声に聞き覚えがあって、顔を上げるとそこには……。


「……五千円のおじさん?」


「ヘッ?!」

 おじさんは驚いて私の顔を見た。

 なかなか思い出せなかったようだけれど、五千円、と呟いたら思い出したようだ。


「一昨日の! うはッ、奇遇だネー。制服じゃないから、一瞬解らなかった」

 おじさんは嬉しそうに笑った。


 一緒にいた男性が怪訝そうな顔をする。

 この人はおじさんと違って髪の毛は真っ黒だけれど、小太りで脂がギラギラしている。

 おじさん以上に年齢がよく解らない。

「何だ五千円のおじさんって。お前まさか援交?」

「ぶははは! ンなわけあるか!」

「だろうな。こんな美少女が五千円だったら、俺だってお願いしたいぜ」

「一回死んで来い、ウサギ」


 おじさんは笑顔で酷い事を言った。

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