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通りすがり以上 1
 テレビではいつものように政治家が足を引っ張り合う映像が流れていた。


 くだらない。

 そんな幼稚な言い争いをするより、お互いのいい所を探して、もっと良い案を出すべく頭を捻るべきなのに。

 女子高生の私にだってわかるのに、大の大人が何をやってるのだろう。

 あんな偉い人ですら、男ってのは見栄っぱりで傲慢で強欲なヤツばかりなんだ。


 私――青葉サキはそう毒づきながらテレビを消した。


 母はもう出社した後だ。

 私はチラシをめくりながら朝食を食べ終え、茶碗を洗う。

 それから臙脂色のセーラー服に着替え、ガス・電気・戸締まりをしっかり確認して家を出た。


 私は花椿女学院に通う2年生。特待生なので、まあ、勉強はそこそこ出来る方だ。

 たくさん勉強して、いい会社に入って、バリバリ働いて。

 女手ひとつで私を育ててくれている母を、早く楽にさせてあげるのが私の夢だった。


 でも最近、頭が良くたって何にも良い事なんかないんじゃないか……って思い始めている。


 花椿女学院に通う生徒は、育ちの良い子が多い。

 高校を卒業したらエレベーター式に短大へ上がる生徒がほとんどだし、高校卒業と同時にどこぞの金持ちと結婚が決まっている子もいるらしい。

 そんな話を聞いていると、私は「勉強する意味」というものを考えてしまう。


 とにかく最近の私は――人生がつまらない。

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