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babysitter
4日目

結局あの後、川の字で寝る事を気に入ってしまったXANXUS様とマーモン隊長のせいで、私達三人はみんなまとめてXANXUS様の豪華な部屋で生活する事になってしまった…

マーモン隊長のもの以上にふかふかで大きなベッドで昨日の夜から寝る事になったんだけど、色々恐ろしくて結局一睡も出来なかったよーっ!
ウトウトとしかけたらXANXUS様の魔の手が伸びて来るんだもん!
マーモン隊長はすぴーすぴーと寝てるから、私のピンチになんか気付いてくれない。
一度なんか、ふと気付くとマーモン隊長を乗り越えてXANXUS様が私に馬乗りになってたから死にそうにビビった!
私知らなかったよ、XANXUS様が生きたセクシャルハラスメントだったなんて!
もっとクールな人だと思ってたけど、完璧違った。


ここんとこの寝不足でフラフラの私は、ルッスーリア隊長が作ってくれた朝食を、XANXUS様の居心地が悪いくらい豪華な部屋で食べる事になった。
XANXUS様は仕事らしく、起きてからはお姿が見えない。
むしろ見えない方がいいけど。

「はい、どうぞ。マーモンちゃんもクリームリゾットなら食べられるんじゃないかしらん?」

ルッスーリア隊長によると、こんな風になる前はマーモン隊長は大人と変わらないものを食べてたらしい。
でもあれからマーモン隊長はミルクしか飲んでないから、お腹が空いてるんじゃないかと心配して作ってきてくれたのだ。
噂通りルッスーリア隊長は優しい人みたい。
ぺーぺーの私にもすごく親切だもん。

ルッスーリア隊長がふーふーして冷ましたリゾットをマーモン隊長に差し出したけど、今日もまた警戒して私にしがみついてくる。
口元をへの字にしながら震えちゃってカワイイなぁ。

「やっぱりかのこじゃなくちゃダメみたいね〜」

隊長が残念そうにスプーンを私に渡す。
冷ましたリゾットを口元に運んであげるけど、じーっとそれを見たまま動かない。
やっぱりミルクじゃなきゃダメかな…?

「美味しいですよ」

口を付けてくれないそれを一応食べてみせる。
うわっ、まじでリゾットうまい!すごいな、ルッスーリア隊長。

「あーん」

こっぱずかしかったけど、もう一度トライしてみたら今度は恐る恐るという感じで口を開いてくれた。
ちっちゃな口でもぐもぐしている。

「…おいしい、ママン」

もっとよこせとせがむから、私は親鳥みたいにスプーンでリゾットを与え続けた。
あの小うるさいマーモン隊長が、私の腕の中で大人しくしてるなんていまだに夢みたい。

「うふふ、かわいらしいわね〜。お昼は何を作ったげましょうか、マーモンちゃん?」

「…違うもん…」

ニコニコしているルッスーリア隊長にマーモン隊長がぶすっとして言った。

「あらん、何が違うの?」

「ずっと思ってたけど、マーモンってなにさ?」

「えっ?」

意味が分からなくて聞き返したら、小さな体から不機嫌オーラを全力で発しながら私に言った。

「パパンもマーモンって呼んでたけど、僕はバイパーだよ!ママンが付けてくれたでしょ?」

「えっ!?…だ、だった、かなぁ…?あはは…」

ば、ばいぱあ、って何…?
名前なの…?
えっ、マーモンじゃないわけ!?
頭の中がハテナだらけの私にルッスーリア隊長が耳打ちした。

「そういえばマーモンちゃんは、ホントはバイパーって呼ばれてるアルコバレーノなのよ」

すいません、アルなんとかの意味も良く分かりません。
とりあえずバイパーってのが本名なの?

「バ、バイパーちゃん?」

「なーに、ママン?」

うっわ、すっごいナチュラルに返事したよ、この子。
絶対呼び慣れない自信があるんだけど、私。

ルッスーリア隊長もちょっと困惑したような顔でマーモン隊長を見ていた。




「えっと、バイパー、バイパー…と…あった!うわ…まじで…?」

私がつけた事になってる名前だから、一応意味があるのか調べてみる事にしたんだけど…
バイパーって毒蛇とか蝮(マムシ)の事って書いてあるよ…調べ方間違ってないよね…?
私だったら間違いなく選ばない名前なんだけど…
お昼寝してるマーモン隊長を横目に辞書を閉じた。



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