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新KYO
ほたるとゆや1

「もぉ、ほたるさんっ!」

小さなゆやが、ぷぅっ、と頬を膨らませて、一人の漢の前に立っていた。手にはお玉を持ち、その姿はまさに仁王立ち。しかし、いかんせん幼子の姿では、可愛いだけで様にならない。

「ナニ」

ほたる、と呼ばれた無表情の漢は、胡坐を掻いてゆやを見た。彼の目の前には、手の着けられていない膳が置かれている。

「どうしていっつも食べてないんですかっ」

ゆやがまさにプリプリ、といった風に怒るっているのを、片付けを手伝っていたアキラが見て言った。

「ゆやさん。ほたるは人からの食べ物を受け付けないんですよ。もう何度も言っているでしょう?」

そう言われたゆやは、悲しそうな顔をしてアキラに駆け寄った。

「でも、それじゃどこで食べてるんですか?食べなかったら、ほたるさんが死んじゃう…」

「ちょっと」

ゆやのそんな言葉を聞いたほたるは、ほんの少し機嫌の悪そうな声でゆやを呼んだ。

「なんでアキラにそれを言うの」

すっ、と眼を細めたほたるに、怯えた表情でゆやの動きが固まる。

「ほたる。ゆやさんが怖がっているでしょう?元はと言えば貴方がゆやさんの用意した物を食べないのがいけないんですから」

そう言うと、アキラはゆやの頭をぽん、と撫で、向こうへと連れて行ってしまった。


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