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新戦国
2

元来、慶次は得物に関しては勘が鋭い方で、刀でも槍でも一通りはすぐに扱えるようになっていた。しかし火縄銃はどうも未知な部分が多く、なかなか目当が定まらないのだ。

渋い顔で慶次がそう言うのを見て、正面に座っていた名無しがクスクスと笑った。

「…私も、火縄の扱い始めはそうでした」

「ほぉ、雑賀でも名手と言われる、アンタがかい?」

「名手だなんてとんでもない。今でもまだまだですから…」

そう首を振り苦笑した名無しが、手をポン、と一つ打ち、徐に立ち上がった。

「慶次様、少しお付き合い願えますか?」

「あぁ、構わないが」

慶次も立ち上がると、彼女に続いて部屋を出た。火縄を一丁、そして火薬などを持ち出し、先ほど慶次が孫市に扱かれていた鍛錬場に入る。

「いいのかい?」

「鍛錬するんですから、いいんですよ」

孫市に渋々付き合ってもらっているという自覚がある身としては(といっても、慶次が男であるという理由で渋々なのであるが)、誰もいないこの場に、たとえ雑賀衆でも指折りの射手が共にいるとしても足を踏み入れるのは申し訳ない気がした。雑賀衆にとって、特にこの孫市が使っている場所は特別なのだと知っているから尚のことである。

「遠慮なさらず。孫市様が直々に火縄の扱い方を教えている方ですから、このぐらいは構いません」

躊躇いを見抜かれたのか、そう告げられ、慶次は一つ息を吐くと、静かに足を踏み入れた。



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あきゅろす。
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