戦国無双頂き物
宵い時。1
「−お嬢さん、名前は?」
…それが、第一声。
…なんて、素敵な声なんだろう、と思った。
低くて…それでいてよく通る、耳に心地良い声。
「…名無し…です…」
「名無しか、美しい君にはぴったりの名だ」
目尻を下げ、また素敵な声で。
「俺はこんな素敵な人を…どうして今まで見つけられなかったんだろう…。…やっと逢えたよ」
…それは、きっと単なる口説き文句。
…普通の人なら、きっと鼻であしらってしまうような。
…でも……そんなこと言われたのは、初めてだった。
…どうしよう、どうしよう、と暴れる思考を制御しながら、やっと私の口から出た言葉が、
「…あ…っ…ありがとうございます…」
−だった。
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