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戦国無双頂き物
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「正直…よくわからないんだ」


素直に俺は答えた。
昼から考えていたそれに答えは見つかりそうになかったし、彼女に着飾った俺を見せたいと思わなかった。


「ただ…お前がいると、すごく安心するんだ」


腕の中の彼女を強く抱き寄せる。

−こんな時に限って、言葉が出てこない。とろけるような甘い言葉も、じんと響くような熱い言葉も。


着飾る俺を裸にしてゆく彼女に与えられるのは、言葉ではなく温もりなのかもしれない。


「…私も…安心する…」

そう言って瞳を閉じる彼女を、とても愛おしいと感じる。


…ああ、俺が捜していたものは、これだったのか…


二人が重ねた時間を思うと、なんて不恰好でいびつなものだったんだろう。


…ようやく気付いた温もり。


「…なぁ、最初から、始めないか…?」
「?最初って…?」
「そうだな…」



今度こそ、見失わないように。

−彼女を愛していると、心から思えるように。




「…まずは、来週、映画でも見に行かないか…?」




Fin.


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